海のスタッフインタビュー 番外編 / 松栄丸三代目 (後編)

松栄丸を陰で支え続ける、寺川社長・船長の父で松栄丸の三代目。アメリカ在住のお孫さんと、英語でメールのやりとりをされるチャーミングな面があったり、時には真面目に熱く柴山の歴史を聞かせてくださったりと色々な顔をお持ちです。

インタビュー記事の後編は、今年度に柴山港を訪ねたときのお話をご紹介します。

 

みなさんとの再会


10月の松葉カニ解禁日の前日。新たなメンバーと、今までの情報共有をしながら向かった柴山港で、まず出迎えてくださったのは寺川社長、寺川船長、そして三代目。

これからはじまる今期の蟹シーズンの準備に余念なく、社長・船長は動き勝手の良い作業服ですが、三代目はビシッとスーツで決めて丁寧にあいさつをして遠路をねぎらってくださいます。市場でホースを持つ時も、セリ中にメモを取られる時も、いつも襟付きの服を着てみえ、そして笑顔と敬語で接してくださる。こちらも取材に身が締まります。

 

出港を前に


夜9時を過ぎ、いよいよだと緊張走る出港前。三代目はどこからともなく現れ、そして荷積みを手伝い、海のスタッフに話かけ、手が空いたときは少し離れた港のすみのほうから、静かに船を見つめていらっしゃいました。

いくら松栄丸の皆のことを信頼しているとはいえども、天候や運を相手にしなければならない海の上。きっと心配なこともいっぱいで、でも、じっと、見守っていらっしゃいました。
目で見て、相手を守る。〝見守る″とは、まさにこういうことだと、背中が教えてくれるようです。

 

漁師だけの問題ではない


そんな背中に話かけると、いつもの笑顔は封印されて、海の男の顔をされていました。通常の海域や、今夜訪ねるスポットの地理的特徴、ここ数年の蟹の漁獲量の変遷。そんなことを、丁寧に、分かりやすく教えてくださいます。特に漁獲量については特に詳しく教えてくださいます。

「去年はに比べて、蟹の生態数が急激に減ると調査が出たことから、今期は制限が厳しくなりました。おそらく来年はもっと厳しい。そうしないと海を護ることができないんですなぁ。販売できる小さい蟹が上がってきても、将来を見据えて、それを丁寧に海に返してやるとかできればよいのですが。ただ、これは漁師だけの問題ではないんです。蟹は大きくなるのにとても時間がかかります。漁業者が、もっと本気で自然に向き合わなくてはならないときにきとるんです。」

 

ひと・うみ・さかなを愛し続ける

三代目の数年先でなく長い未来をしっかり見つめていらっしゃる熱量に、ただ頷くだけしかできなかった私を気にかけてくださってか、すぐにユーモア交えた笑い話に切り替えられました。

出港前にいろいろな心配が混じって、軸の想いを話してくださったんだと思います。松栄丸が大切にしている「ひと・うみ・さかな」。そしてそれらを「愛し続ける、会社であり続ける」ということ。挑戦し続ける柴山の港には、長い未来を見据える、熱い海の男がたくさんいます。

 

いつまでも


翌日の初セリ後は、ほっとされたのか、もとの優しいお顔立ちに。蟹について、底引網漁の仕組みについて、笑顔で分かりやすく伝えてくださる三代目の周りには、やはり自然に人が集まり、みんなが笑顔になるのでした。

「またいつでもいらしてください。」と、温かい言葉をたくさんいただいて。三代目! また、会いに柴山に伺いますね!

 


船長 寺川 寿人

寺川兄弟の弟、松栄丸の船長。船の上からのレポートなど、漁師ならではの視点で日々の営みをお届けします。